日本三大横領事件をご存知ですか?

 

  • 三和銀行詐欺横領事件
  • 滋賀銀行横領事件
  • 足利銀行詐欺横領事件

 

全て女性が犯人という共通点があります。

 

今回はその中でも20代前半女性が

2億円もの詐欺横領を行ったという

足利銀行詐欺横領事件に注目します。

 

昭和50年に発覚したこの事件。

男性に貢ぐ目的で2億円以上ものお金を

横領したとして犯人は逮捕されました。

 

どうやってこのような事件が起きたのか。

犯人の過去や現在についても含めて

詳しく見ていきたいと思います。

足利銀行2億円詐欺横領事件の経緯や手口

 

1975年7月20日。

足利銀行栃木支店に足利銀行本店からの

抜き打ち審査が行われていました。

 

抜き打ち検査の中で、帳簿を調べると

ある女性職員のデスクから多数の通帳と

三文判が見つかりました。

 

およそ2年間、貸付係の大竹章子が

架空の預金証書を使って約2億1000万円を

横領していたことが発覚しました。

(現在の価値にすると約3億8000万円)

 

その手口は融資調査役の検印を、

隙を見て白地の手形に捺して持ち帰り、

金額・定期預金名を書き込んだ上で

職場が忙しい時を狙って現金化する、

というかなり雑なものでした。

 

発覚後、大竹章子は逮捕されますが、

なぜ23歳の女性社員が2億円もの横領に

踏み切ったのでしょうか。

 

それは、1人の男性絡みでした。

大竹章子のWiki経歴・プロフィール

  • 名前:大竹章子(おおたけあきこ)
  • 生年月日:1953年
  • 年齢:66歳?
  • 出身:栃木県栃木市

 

1953年に栃木県栃木市で生まれた

足利銀行横領事件の犯人の大竹章子。

実家は農業の傍ら、ビール用原料麦の

運送業を営む両親と姉と弟の3人兄弟で、

ごく普通の家庭だったそうです。

 

幼い頃から働き者で聡明だった大竹章子は

家の手伝いも積極的に行っており、

成績はトップクラスの優秀な子供でした。

 

高校ではテニス部のリーダーを努めており

成績は悪くても20番以下になることは

なかったという大竹章子は学校長推薦で

卒業後に足利銀行栃木支店に入行します。

 

貸付係に配属され、真面目な大竹章子は

無遅刻無欠勤で、明るく仕事をこなす

模範的な「銀行OL」で、上司や同僚からも

信頼されるバンカーだったそうです。

 

そんな真面目なOLが不正に手を染めたのは

友人との東北旅行で出会った一人の男との

出会いがきっかけでした。

大竹章子は阿部誠行(石村)と出会って横領に手を染める

 

「君たち学生?」

 

1973年8月12日、章子は同僚の友人と

女子旅で東北に向かっていました。

急行「松島4号」に乗っていると、

近くの男性が話しかけてきました。

 

章子は石村と名乗る男性との会話が楽しくて

仙台駅までの2時間はあっという間に

感じられたんだとか。仙台駅での別れ際に

友達に気付かれないように、宿泊する宿の

電話番号まで渡してしまいました。

 

仙台の宿に着くと、石村から連絡があり、

旅先での出会いを運命と感じた章子は

都会的な雰囲気の石村にのめり込みました。

 

石村は、世界中を駆け回り国家のために

活動している「国際秘密警察員」という

嘘の肩書を、2人の秘密として告げました。

 

冷静になってみれば「そんなばかな」と

思うような肩書ですが、石村に対して

好意を持っていた章子はそれを信じました。

典型的な結婚詐欺で阿部誠行(石村)に貪られる大竹章子

 

「あなたが忘れられなくて」

 

旅行から戻ってきた章子のもとに、

石村から電話がかかってきて、

再会することになりました。

 

「身の危険が迫ってきたので組織から1日も早く逃げたい」

「結婚したいんだが、実は今すぐはできない。」

「結婚すれば秘密警察をやめなくてはならない。今やめれば命を狙われる。こんな状態から抜け出すには金がいるんだ」

 

そう言った石村の言葉を信じた章子は

預金から150万円を引き出し渡しました。

 

同期入社の女性社員がどんどん結婚して

寿退社をしていたという状況もあり、

章子は結婚に対して焦っていました。

 

「来年の春頃に結婚できそう」

そう言った石村の言葉を信じた章子は

その後もどんどんとお金を貪られます。

典型的な結婚詐欺(アカサギ)ですね。

 

「組織から抜けるために金が必要」という

石村に自身の貯金はもちろん、父親名義の

通帳からもお金を渡しました。

銀行のお金に手を付け逮捕

 

「組織から離れるために5000万円がいる」

 

20歳のOLだった章子には5000万円もの

貯金は当然ありませんでしたが

「銀行の貸付係だろ?」という言葉を

きっかけに銀行のお金に手を出し始めます。

 

勤務中、章子は隙を見て調査役の検印を

白地の手形、伝票、副伝票に押し、

自宅で金額を書き込んだ上で後日、

銀行が忙しい時を狙って現金化しました。

 

横領をしている罪悪感もありましたが

それよりも石村に対しての愛情や執着が

勝ってしまい、お金の工面を頼まれると

断ることができなくなっていました。

 

結婚を餌に銀行のお金を横領するも、

結局はのらりくらりと籍入れられず、

1975年の7月。章子による横領が発覚し

逮捕されることになりました。

 

東北旅行で出会って逮捕されるまでに

章子は石村と62回デートをしましたが

そのうち54回はお金を渡しており、

総額2億1190万円を貢ぎました。

 

逮捕後もすぐに秋この夢は冷めず、

「あの人が必ず私を助けにきてくれる」

と信じていたそうです。

 

もちろん石村は国際秘密警察員ではなく

既婚者で章子から貢がれたお金で

愛人を囲っており、石村という名前も

偽名で本名は「阿部誠行」といいます。

阿部誠行(石村)のWiki経歴・プロフィール

  • 名前:阿部誠行
  • 出身:宮城県登米郡登米町
  • 生年月日:1951年
  • 年齢:68歳?

 

石村と名乗っていた横領事件の黒幕の

阿部誠行は宮城県登米郡出身で、

実家の父親は下駄屋で町の名士でした。

 

高校を卒業後、上京して立正大学に

進学しますが、その頃に父の事業が失敗し、

一家が関東に移り住んできました。

 

阿部は競輪、競馬通いを続けて大学は

2年で中退してしまいます。千葉の自衛隊に

入隊しましたが、競馬場に近い船橋市の

蕎麦屋に強盗に入り、逮捕されました。

 

執行猶予判決を受けた後、再び東京に

出てきており、結婚もしました。

妻とは恋愛結婚だったそうです。

阿部誠行は複数の愛人を囲って会社やクラブを立ち上げる

「国際秘密警察」という中二病的な

設定で章子を騙し続けた阿部誠行ですが

章子から受け取ったお金は当然ですが

組織から抜けるためなどには使いません。

(そもそも組織がない)

 

奪ったお金で複数の愛人を囲うような

生活を送るだけでなく、六本木にクラブを

開店したり、競馬情報と予想新聞を発行する

「国際ユニオン開発センター」を立ち上げ、

羽振りのいい生活を送っていました。

 

章子が罪悪感から横領をやめたいと言うと

警察にバラスト脅したり、殴ったりと

心身ともにDVを行っていたようで、

依存状態を作っていたと思われます。

 

章子の逮捕後、お金を無心していた

阿部はお金の受け渡し場所に来たものの

捜査員に気づき、車で逃亡しました。

愛人と逃亡生活を送るも、9月18日に

あえなく逮捕されました。

 

奪ったあぶく銭で立ち上げた事業は

うまくいくことはなく、逮捕時には

所持金はたった250円でした。

 

ちなみにこの事件を元に作られた

紙の月」という作品があります。

映像化もしており、AmazonPrimeVideoでも

見ることが出来ます。

大竹章子と阿部誠行のその後や現在は?

裁判では、大竹に懲役3年6ヶ月の実刑が、

阿部には詐欺・有価証券偽造・同行使罪で

懲役8年が確定しました。

 

2人のその後や現在については、

特に情報がありません。

生きていればもうすぐ70歳になります。

足利銀行

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